価格ではなく、価値で選ばれるために考えたいこと

値下げや相見積もりに悩んでいるなら、価格を変える前に「お客さんは何にお金を払っているのか」を観直してみませんか。価格競争から抜けるための、価値の見つけ方を考えます。

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見積もりを出したあと、「もう少し安くなりませんか」と言われる。競合と比べられると、最後は価格の話になる。値上げしたい気持ちはあるけれど、お客さんが離れるのが怖い。

そんな話を、経営者の方から聞くことがあります。

こういうとき、つい「いくらなら買ってもらえるだろう」と考えてしまいます。でも、価格で比べられているからといって、問題が価格そのものにあるとは限りません。

僕ならまず、「自分たちは、何を売っているんだろう」と観直します。

価格で比べられるのは、違いが見えないからかもしれない

お客さんから見て、A社とB社の違いがよくわからなければ、比べやすいものが基準になります。

価格、量、納期、立地。数字で比べられるものは、とてもわかりやすい。

だから競合より少し安くする。値引きキャンペーンをする。サービスをひとつ増やす。もちろん、それで売れることもあります。

ただ、それを繰り返していると、だんだん苦しくなります。

値段を下げれば、その分だけ多く売らなければ利益は残りません。仕事が増えれば、人も時間も必要になります。気がつけば、売上は伸びているのに、忙しさばかりが増えている。

僕自身、以前の会社で似た経験をしました。売上は大きくなったのに、人も仕事も管理することも増えていき、「売上が増えること」と「経営がよくなること」は同じではないと身をもって知りました。

だから、価格の話になったときほど、価格以外のところを観るようにしています。

お客さんは、本当は何を買っているのか

たとえば、美容室。

お店が売っているのは、カットやカラーです。でも、お客さんが買っているものは、本当に「髪を切ること」だけでしょうか。

朝のスタイリングが楽になることかもしれない。鏡を見たときに、ちょっと気分が上がることかもしれない。誰にも邪魔されず、静かに過ごせる時間を買っている人もいるでしょう。

製造業でも同じです。

図面どおりにつくれることだけが価値とは限りません。「この仕様なら、この方法の方がいいですよ」と一緒に考えてくれることや、他社が嫌がるような少量の仕事にも対応してくれることが、選ばれている理由かもしれません。

ところが、長く仕事をしていると、そういうことは自分たちにとって当たり前になります。

お客さんはそこに価値を感じているのに、本人たちは「そんなの普通です」と思っている。

相談で話を聞いていると、こういうことは本当によくあります。

強みをつくる前に、すでにあるものを観る

「うちには特別な強みなんてないんです」

そう言われることもあります。

でも、話を聞いていくと、何もないことはほとんどありません。

長く続けてきた理由。なぜかよく頼まれる仕事。お客さんとの接し方。仕事の進め方。場所。歴史。スタッフ。それまで積み重ねてきた経験。

強みは、新しくつくらなくてもいい。

今あるものを別の角度から観ることで、初めて価値として見えてくることがあります。

たとえば、伝統工芸品なら、単に品質がいいというだけではなく、誰が、どんな考えで、どんな時間をかけてつくっているのかまで含めて価値になることがあります。

老舗の飲食店なら、料理だけではありません。建物や店の歴史、働く人、その場所で過ごす時間まで含めて、「わざわざそこへ行く理由」になっていることもあります。

僕が「ビジネスの意味を編集する」と言っているのは、こういうことです。

何か派手なものを足すのではなく、今までバラバラに見えていたものを観直して、「これは誰にとって、どんな意味があるんだろう」と考え直す。

それだけで、同じ商品やサービスの見え方が変わることがあります。

「価値があるか」より、「誰にとって価値があるか」

価値を考えるときに、もうひとつ大事なのが「誰にとって」という視点です。

できるだけ安く買いたい人にとっては、安さそのものが価値です。それは悪いことではありません。

でも、少し高くても、相談しながら決めたい人もいます。失敗したくないから、安心して任せられる相手を選ぶ人もいる。時間をかけずに済むことにお金を払う人もいます。

全員に選ばれようとすると、どうしても価格や量のような、誰にでもわかりやすい基準に寄っていきます。

一方で、「自分たちは、誰の役に立ちたいのか」を具体的に観ていくと、選ばれる理由は少しずつ変わってきます。

そのとき初めて、「いくらなら売れるだろう」ではなく、「この価値なら、いくらが妥当だろう」と考えられるようになります。

値上げの前に、一度観直してみる

価格で選ばれたくないからといって、単に値段を上げればいいわけではありません。

高級感のあるロゴに変えれば解決するわけでもない。

まず観直したいのは、お客さんが何にお金を払っているのか。そして、自分たちだから提供できているものは何なのか、ということです。

そこが見えてくると、変えるべきものが価格ではない場合もあります。

商品名かもしれない。サービスの組み合わせかもしれない。伝える相手かもしれない。仕事の受け方そのものかもしれません。

「価格で比べられている」という悩みは、価格の問題に見えて、実はまだ自分たちの価値を十分に観られていない、というサインなのかもしれません。

自分たちでは当たり前になりすぎて見えないときは、誰かと話してみると、意外なところから選ばれている理由が見つかることがあります。

僕の仕事も、そこから始まります。

「自分の事業の場合はどうだろう」と思ったら、一度話してみませんか?

まだ、何を相談すればいいのかまとまっていなくても大丈夫です。

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